主役の年齢設定を、もう少しだけ上げてくれると
素直に読めるんだけどなぁと思ってしまう
おばちゃん気質が抜けない「はむすた母」です
なかなかに、わくわくさせてくれる作品に出合いました
この作品の舞台は、アイスランドです
作者はあとがきで
「そこに立てば、生き物の生きる力や、道具の役割、
自然と言うものを考えてしまう土地です。
アイスランドをインドア・ドライブ
楽しんでいただけましたら幸いです。」
と、結んでいます
主人公は
御山 慧 (みやま けい) 17歳
祖父のものとに居候しながら
アイスランドで「人探し」の仕事をしています
慧、カッコいいんですけどね
達観しすぎて17歳に見えないんですよ
一生懸命に背伸びをするころ合いではありますけど
日本人の17歳としては、かなり頑張っちゃっています
祖父のジャックがまた、なかなか素敵な大人でしてね
17歳にとっては「面倒なじいさん」かもしれませんが
きちんと自分の責任を請け負って、17歳を17歳として尊重できる人なんです
1巻から、人物にぐっと惹かれる物語です
2巻は
慧の親友が日本から訪ねてくることで
アイスランドの紹介を兼ねたお話が展開されます
アイスランドの地面は
腐葉土でおおわれた日本の地面とは、真逆のようなところです
だから生きている植物の常識がかなり違います
地面、プレート自体が
日本は地球の核の方向に向かって巻き込んでいくイメージの構造なら
アイスランドは地面が割れて広がっていくイメージで
これも真逆です
でも、水が豊かだったり、温泉があったり
おなじみの部分もあることはあるかな
2巻を読むとアイスランドに行ってみたくなりますよ
3巻では
1巻で、慧の家族に起こった事件が動き出します
慧やジャックの一族の血に備わった力、
事件の中心が慧の弟「三知嵩(みちたか)」であること、
読者にはかなり具体的に見えてくる展開です
ここまで「筋の通った人物」で構成されていた物語が
「可愛いだけでない、価値観の違う人物」の動きで
物語がぐるっと動きだしたことを感じさせます
この先、グロくなりそうな予感はありますが
人物像にひかれて先に進みたくなる物語です
続きが楽しみです
追記
作者の入江亜季さんの絵柄を、知っているなぁと思ったら
新井素子さんや、あさのあつこさんの本のイラストを描いておられました
なるほど、リアルタイムで読んできた作家さんの本でお会いしていたんですね